体験学習で見つけた大発見!!

吉胡貝塚資料館の人気のある体験学習のひとつに、通称「貝層洗い」があります。昭和26年の発掘調査で調査された貝層を洗浄し、土器や石器、動物の骨などを実際に捜す、という体験です。土を洗うという調査方法は、実際の貝塚の調査でも、手掘りだけでなく、小さな遺物を探すとき、貝層に含まれる細かな内容物を分析するときに行います。この体験では、4mm程度の目のプラステックの網かごを使い、水につけながら土を落としています。 本来なら、調査が終わった土から遺物が発見されるということはあってはならないことですが、発掘作業中でどんなに気をつけてもやはり見落としはあるのです。ましてや昔の調査では・・・。

それはさておき、この体験で貴重なものがみつかりました。オオツタノハという貝で作られた腕輪です。

壊れた一部の破片で、長さは4cm、輪の幅は0.7cmです。

復元すると、元の貝の大きさは推定縦8cm、横6cmで、輪の縦6cm、横4.5㎝はあると思われます。ずいぶん小さく思えるかもしれませんが、これでも大人がはめるものです。どうやってはめたのでしょうか。

今回見つかったオオツタノハ製貝輪片

オオツタノハってどんな貝?

見つかった貝輪は小さな破片ですが、オオツタノハは当時の最高級品。今で言えばダイヤモンド、いや、それ以上の価値を持つものです。

現在この周辺で見つかるオオツタノハは、伊豆諸島の南部のものを使用したものと考えられています。

この貴重なオオツタノハの生息域は日本でも限られています。伊豆諸島南部や大隅諸島などの限られたあたたかい海にしか生息しておらず、しかも荒波の打ちつける断崖絶壁にはりついて生きているため、手に入れるのがとても難しいのです。

写真は忍澤成視さんが命がけで採集した標本です。見かけは殻の表面にいろんなものがくっつき美しくはありませんが、磨き上げると紫色をした美しい貝です。

オオツタノハの標本(忍澤成視さん提供)

渥美半島は貝輪の名産地

渥美半島の縄文人は、表浜に打ち上がるベンケイガイ、サトウガイで貝の腕輪を作っていました。その失敗品だけでも数千点も見つかっています。失敗品だけでこの数なので、この何倍かの完成品がつくられていた可能性があります。これらの貝輪はとても自分の村だけでは使いきれません。と、なると他の村へも特産品として流通していたことは間違いありません。渥美半島は日本有数の貝輪生産地だったのです。

しかし、それでもオオツタノハだけは別格。渥美半島でこの貝はとれませんが、オオツタノハ製の貝の腕輪は発見されています。やはり縄文人は欲しくてたまらなかったのでしょうね。

オオツタノハをはじめとする貝輪については、市原市埋蔵文化財調査センターのHPをご覧ください。吉胡貝塚のことも書かれていますよ。

市原市埋蔵文化財調査センター

伊川津貝塚出土オオツタノハ製貝輪(長さ6.5 センチ)

渥美半島とオオツタノハの貝輪

オオツタノハの貝輪は、全国でも200点余りしか見つかっていない貴重品ですが、渥美半島では今回発見のものを含め26点も確認されています。

伊川津貝塚の最近の成果(平成21~25年調査)で2076点の貝輪関係資料のうち、オオツタノハは9点でした。

他の種類の貝輪関係資料はそのほとんどが貝輪の素材・未成品・失敗品で、使用したものはわずかですが、オオツタノハについては表面の付着物がきれいに取り除かれ、輪の内側は滑らかに磨かれており、使用されています。

渥美半島で発見されたオオツタノハ製貝輪の数

渥美半島のように貝輪の大生産地でもオオツタノハは別格扱い。貝輪を作って得た利益(適当な表現ではないですが)でオオツタノハの貝輪を、製品として手に入れたのでしょう。

いずれにせよ、この発見で渥美半島のオオツタノハ保有点数が更新されました。


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